嚥下障害の食事|簡単に用意ができて喜ばれるメニュー
身近な方が何かの病気と診断されたとき、その方のためにできることを探されると思います。もし嚥下(えんげ)障害になられたとき、少しでも楽にそして喜ばれる食事は何か調べられると思います。病気と向き合っていくには介助者の負担もできるだけ軽くすることが大切です。
そこで、今回は誰でも簡単に用意ができ、実際に嚥下障害の方から喜んでいただいているメニューをご紹介します。私はフレンチトーストの専門店を営んでいます。
フレンチトーストを嚥下食に利用されているご家族の方から「とても役に立っている」「皆さんにも勧めたい」というお声をいただき、同じ境遇でお困りの方の一助になりたいという思いから記事を書いてみたいと考えました。
この記事では
・嚥下障害とは
・嚥下障害にふさわしい食事について
・嚥下食の役割について
・皆様のお声
をお伝えします。
この記事を読んでいただくことで嚥下障害と嚥下食についての理解を深め、いつでも簡単に適した食事を提供できるようになります。嚥下障害の方に気に入ってもらえ、そして介助者の負担が軽減し喜んでもらえたら幸いです。
嚥下障害とは
嚥下障害とは、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない状態のことをいいます。食べ物を口へ入れてかみ砕き、咽頭から食道を経由し胃に運ばれるまでが「嚥下」です。この一連の「嚥下」のうち、どこかの過程で障害が起きているとき「嚥下障害」とされます。
嚥下障害にふさわしい食事とは
嚥下機能が低下した人に配慮した食事を「嚥下食」と呼びます。嚥下食にも段階があり、嚥下の機能に応じてやわらかさや形状を調整する必要があります。日本摂食・嚥下リハビリテーション学会では、施設や病院で適切な形態の食事を提供するために客観的な基準を設けました。これが下図の「嚥下食ピラミッド」です。
〈 嚥下食のレベル 〉
0j:嚥下訓練食品 スライス上のゼリー
0t:嚥下訓練食品 ゼリー
1j:嚥下調整食 ゼリー・プリン・ムース
2:嚥下調整食 ミキサー食、ピューレ食、ペースト食(2-1:滑らかで均質、2-2:粒を含む不均質)
3:嚥下調整食 やわらか食、ソフト食
4:嚥下調整食 全粥、軟飯、軟菜食
当店のフレンチトーストを嚥下食として活用いただく場合の目安はレベル3から4の方になります。
レベル3の嚥下調整食は形状として「形はあるが,押しつぶしが容易,食塊形成や移送が容易。咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの。多量の離水がない。」と説明がされています。
レベル4は「かたさ・ばらけやすさ・貼りつきやすさなどのないもの。箸やスプーンで切れるやわらかさ。」とあります。事前に担当の先生に相談されるとより安心いただけます。
嚥下食の役割
嚥下食の役割は、嚥下障害の方が①誤嚥(ごえん)などの事故がなく適切な栄養を摂れるようにすることです。また重要な役割に、②QOLの低下を抑制することが挙げられます。
①栄養不足の問題について
嚥下機能の低下により十分な食事が摂れず、栄養不足となる方が多いと報告されています。病院に入院中や介護施設に入所中の高齢者の約40%が低栄養状態であるといわれており、その大きな原因が嚥下障害によるものとされています。
さらに在宅療養中の高齢者の場合、約70%に栄養不足の可能性があることが報告されています。「残さず食べているのに・・・」と思っていても、ミキサー食やおかゆばかりだと栄養不足になることあります。
例えば、ご飯1膳(160g)あたりのカロリーが250キロカロリーなのに対して、同じ1膳のおかゆだと100キロカロリー程度しかありません。これが五分がゆだと50キロカロリーとなります。
3大栄養素の一つタンパク質についても、おかゆはご飯の半分以下となります。
高齢であっても1日の必要摂取カロリーは74歳までの男性で2400キロカロリー、女性では1850キロカロリーが目安とされます。必要なカロリーは意外に高いんだなと思われるのではないでしょうか。好物の使用や、感覚刺激を入れるためにやや濃いめの味付けにすることも栄養を補うのに効果があります。
QOL低下の問題について
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)は「生活の質」と訳され、「自分らしさを保って暮らすこと」といった意味を持ちます。嚥下機能が低下し、思うように食事が摂れないとQOLは低下します。食べることは多くの人にとって、人生の大きな楽しみの一つです。食べられない状態はご本人はもちろんのこと、食卓を共にしてきたご家族のQOL低下にも繋がります。
しかし、嚥下機能の症状が改善されなくても、QOLを上げることは可能です。例えば、介助者やご家族と一緒にたくさんのメニューから選べるファミリーレストランへ行くことや、好みのものをお取り寄せするのも方法の一つです。現在の症状でもできることが増えたり、食べられるメニューが増えたりすることでQOLの上昇につなげていただきたいです。
まとめ・嚥下障害の方のお声から
私がフレンチトーストのお店を始める時、お客様の層は20代から40代の女性が多いだろうと想定していました。しかしいざ開店してみると、男女問わず幅広い年齢層の方々にご利用いただくようになりました。そして深く印象に残るのが高齢の方や嚥下障害の方からのお声です。
「もともとパンが好きだが食べづらくなった。ここのフレンチトーストは柔らかくて食べやすい。」
「味もいろいろ選べて楽しい。どれもしっとりしていて好みだ。」
「冷凍なので保存ができてよい。温めるだけで簡単で便利だ。」
「添加物を使用していなくて安心して食べられる。」
当店の商品の利点をお客様から教えていただき、気づくことも多いです。
そして上記の「栄養不足」の問題に対しても、当店のフレンチトーストはプチサイズでも157~207キロカロリー、タンパク質も5~6グラムと栄養価が高いのも特長です。また、保存料などの食品添加物は一切使用していませんので安心してお召し上がりいただけます。
普段の買い物になかなか出掛けられない方のお役に立っていること。手軽に栄養価の高い食事を提供できること。嚥下障害の方とご家族が一緒に同じ食事を楽しく分け合って召し上がっていただいていること。
嬉しいお声が励みになり本当にお店を始めて良かったなと実感します。そしてこれからも嚥下障害の方をはじめ、「食」に困られている方のお役に立てる喜びと使命感をもって、皆様の笑顔を思い浮かべながら心を込めて作っていきたいと思います。
ご不明などがある方は、下記よりお気軽にお問い合わせくださいませ。
フレンチトーストの商品一覧はこちらから。
せるくる|フレンチトースト専門店
お取り寄せができる天然酵母のフレンチトースト専門店せるくるでは、島根の松江から全国の皆様にいつでも楽しく安心してお召し上がりいただけるよう、厳選【無添加】食材のみを使用しています。焼き立てを急速冷凍し美味しさを”凍じ込める”ため、無添加でも長期間保存でき、温めるだけで簡単に焼き立ての味わいをお楽しみいただけます。
店名 | せるくる |
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住所 | 〒690-0001 島根県松江市東朝日町627-3 |
電話番号 | 0852-33-7786 |
営業時間 | 毎週日・月曜以外 10-17時 下記のカレンダーをご確認ください |
代表者名 | 尾添 哲也(オゾエ テツヤ) |
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